海底地震計の回収作業に行きました

6月中旬、台湾の研究船Legend(勵進)に乗り、基隆港から南西諸島近辺に設置した広帯域海底地震計を回収しに出かけました。

Legend(勵進)です。

基隆港を出発します。

 

広帯域海底地震計の回収作業です。現地到着後、船から信号を出してしばらくすると、こんな感じで浮上してきます。これを、

 

回収します。

夜間、暗い中、船の前方に浮上したはずの海底地震計を探します。向こうがうっすら明るいのは月明かりです。

 

夜間の海底地震計回収作業です。

 

台湾のテレビの取材チームが乗船していました。船内で取材中の様子です。

 

船の一日の献立です。炒め物がメインです。日を追う毎にデザートのフルーツが熟してきて美味しかったです。

食事はセルフサービスです。スイカが余っています。

 

JpGU2019に参加しました

JpGU2019に参加しました!

2019年5月26日から30日に千葉市幕張の幕張メッセでおこなわれたJpGU2019に参加しました。

ポスター会場はこんな感じです。

今年はやたら暑く、かりゆしウェアでちょうどよかったです。

今年、研究室からの発表はM1の屋嘉部君の発表と、私の発表3つでした。

屋嘉部君は海底地震計を使って中部琉球海溝での自然地震活動を調べた結果の報告です。

 

私の発表は3つあり、一つは台湾の活断層を地中レーダで調べたものです。

もう二つは大地震の表面波で誘発された低周波地震についての結果と琉球海溝で起こった超低周波地震後に発生した普通の地震の群発地震活動についての解析結果です。誘発低周波地震は昨年度卒業した金城さんの修論内容です。2つ同時の発表は疲れました。

学会中に、中村研卒業生を含め、他の地学系卒業生が集まって飲み会が行われました。写真は中村研在籍生と卒業生です。

AGU Fall Meeting 2018へ参加してきました!

AGU Fall Meeting 2018へ参加してきました!

開催地は米国ワシントンD.C.(DC)にある「Walter E. Washington Convention Center」で、五日間に渡って行われました。述べ2万4千人の地球惑星科学分野の研究者や関係者がそれぞれの研究を発表し議論し合う場でした。

この連合大会は通常サンフランシスコで開催されておりますが、その場所は現在改装工事中なので代わってDCが新しい開催地として選ばれていました。

会場のようす:

会場入り口の様子:

会場の入り口で出迎えてくれるのはこの巨大なツリー! クリスマスチックな内装がところどころにあしらわれており、とてもワクワクさせられます。2枚目の写真に写っているのは、九州大の渡辺さん。今回の旅仲間です。

ポスター会場の様子:

写真だけですと小さく見えるのですが、実は端から端まで歩くのに、15 分近くかかるほど大きな会場です。ポスターを見ながら運動にもなってしまう。

ポスター発表のようす:

中村先生のポスターです。

指導教員である中村先生と私のポスター。国内外問わずたくさんの方がお越しくださいました。限られた時間の中で自身の発表を聞いて下さり、さらには研究に関するコメントや改善点もいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。本当に有難うございました。

学会に参加する機会をいただくことで、自分の研究する分野の最新の情報や、どのぐらい盛り上がっているのかを知ることができます。また同じ世代の学生とのディスカッションをしたりなど、非常に有意義な時間となりました。

食事も楽しみました。個人的にベトナム料理とメキシカン料理が好きなのですが、日本にいるとなかなか食べられる機会がない…! ということで、先生や友達を巻き込んでベトナム/メキシカンレストランに行きました。その時のようす:

目覚めのコーヒーを嗜む新城先生。

「米国大統領が寝起きするホワイトハウスから半径2マイルの場所で私も寝起きしてる、、」といった意味不明な理由で、私は始終浮かれ気味でした。

ちなみにワシントンDCの街並みですが、さすがは米国大統領のお膝元、建ち並ぶビルも政府関連のものが多いです。

自分の発表を終えて肩の荷が下りたその日、せめて眺めるだけでも、ということでFBI事務局・ホワイトハウス・リンカーン像・ワシントン記念塔・キング牧師像を見て回りました。

FBI事務局のそばを歩く渡辺さんと新城先生。

ホワイトハウス(正面から撮ったもの。ホワイトハウスと言われて一番最初に思い浮かぶのは、実はハウスの裏側から撮ったものだとこの日初めて知りました!)

ホワイトハウスを掴む新城先生と私

リンカーン像と、渡辺さんと私

ワシントン記念塔

キング牧師像

それぞれが日本ではほとんど見かけることができないギリシア建築様式を取り入れた建築物が立ち並ぶので、歩いているだけでも次々と目を奪われていきとても楽しかったです。

そういえば中高生のときにギリシア建築様式であるイオニア式、コリント式、ドーリア式とかを習ったなぁとかを考えたり、ちゃんと勉強していれば見る風景も違ったかなぁと少し反省したりと、新鮮で愉快なDC散策となりました。

その日はGPSを所持していたのですが、なんと距離にしておよそ18 km、外気温2,3 ℃の中を徒歩移動していたようで、帰って滞在先のホテルに着いた頃には時差ボケも相まって相当疲れていました。

博物館(Smithonian National Air and Space Museum, Steven F. Udvar-Hazy Center):

本物のスペースシャトルの展示もありました!こんなに大きなものが宇宙へ飛んで行ったのかと感慨深い気持ちになります。科学ってすごいなぁ。

来年の学会会場はサンフランシスコ!:

メリークリスマス!        (金城 亜祐美)

八重山の地殻歪が変化すると、西表島の地震が活発化する

背景

西表島周辺は地震活動が活発な地域です。今年も3月1日にM5.6の地震が起こりニュースになったことは記憶に新しいと思います(図1)。この地震の原因を探るために八重山諸島の地震活動を解析したところ、西表島南部の地震活動が2002~2005年と2013年以降に活発化していたことが明らかになりました(図2)。地震活動を長期的に活発化させる要因として、周辺での大地震・群発地震活動とゆっくり地震(スロースリップイベント、アフタースリップ)による地殻の歪変化(地盤の変形)が考えられます。しかし、そのような地震活動による歪変化が西表島で地震活動を活発化させたのかどうかは分かっていません。

そこで活発化の原因を探るため、国土地理院のGNSS(全球測位衛星システム)観測データを使って西表島を含む八重山諸島での地殻の歪変化を調べました。地震活動はETASモデル(地震活動の標準モデル)を用いて、活動の変化が起こった時期を分析しました。

図1 八重山諸島の地図。点線の領域は地震活動の変化が見られた地域を示す。

 

図2 地震活動変化と長期歪(数年単位での地殻の変形)のグラフ。

 

成果

地殻の変形を計算した結果、八重山諸島は常に北東-南西方向に伸張している中で、約半年の周期で南北方向の収縮と伸張を繰り返していました(図3、図4、アニメーション1)。これは西表島直下で繰り返すスロースリップイベントによる歪の蓄積と解放を反映しています。

その中で2002年頃、八重山諸島の変形が一時的に大きくなりました(図2、図4)北西-南東方向に伸張し北東-南西方向に収縮する変形が強くなりました。さらに2012年以降、今度は北東-南西方向に伸張する変形が強くなりました(図2、図4)。これら2002年と2013年におこった変形の増加はそれぞれ、2002年1月後半と2013年5月中旬ごろに始まった西表島南西部の地震活動活発化の時期と一致しています(図2)。

これらの歪増加はそれぞれ異なった要因によって生じています。2002年の歪増加は与那国南部のアフタースリップで生じました。2013年の歪増加は与那国北方沖の沖縄トラフで発生した群発地震活動によるものです。

2018年現在でも強い変形(歪速度)の状況が弱まりつつも継続しています。2018年3月の西表島南部の地震も、この強い変形の状況下で発生したと考えられます。

図3 長期歪(数年単位での地殻の変形)と短期歪(数ヶ月年単位での地殻の変形)のグラフ。

 

図4 八重山の変形のパターンの模式図

 

意義・課題

今回の研究から、八重山諸島では地震活動の変化を通して地下の歪変化を捕らえることができることがわかりました。

もう一つは、西表島群発地震の発生原因を探る鍵が見つかりました。1991年~1993年に西表島で群発地震が発生しています。しかし、なぜ群発地震が発生したのかは未だ謎のままです。西表島付近の地震活動が歪変化に敏感に反応することから考えると、西表島群発地震が発生した当時も、この地域で歪速度の変化があったのかもしれません。

 

【論文名】

著者:Nakamura M. and Kinjo, A.(中村衛・金城亜祐美)

題目:Activated seismicity by strain rate change in the Yaeyama region, south Ryukyu.

論文誌: Earth, Planets and Space (2018) 70:154.

DOI:10.1186/s40623-018-0929-y

アニメーション1:1998年から2017年までの八重山諸島の移動と変形。移動を20万倍、変形を10万倍に拡大して表示。