2024年4月3日台湾花蓮の地震による津波

4月3日8時58分、(日本時間)、台湾東部でM7.7の地震が発生しました。

この地震による沖縄県への津波波高分布を計算しました。

断層の位置はUSGS NEICの速報震源(深さは23 km)、断層はCMT解をもとに走向26°、傾斜58°の逆断層、断層の長さ・幅はfinite fault modelをもとに40 km×40 km、滑り量2.2 mで計算しています。

https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us7000m9g4/executive

 

図1:南西諸島中南部における津波波高分布(メッシュサイズ 2430 m)。

 6時間分の計算結果です。台湾東部で、局所的に波高が約1 mに達しています。

 

図2:先島諸島での最大津波波高分布(メッシュサイズ810~90 m)。

 必ずしも台湾に近い島ほど津波が高いとは限らないことが分かります。波高は島内でも局所的に大きくなります。この計算結果だと、西表島周辺、石垣島北部、宮古島南西部で最大波高が0.7 mを超えています。湾の奥で波高が高くなる傾向が見られます。

 

図3:沖縄本島周辺での津波波高分布(メッシュサイズ810~90 m)。

 先島諸島ほど高くはありませんが、それでも沿岸部では局所的に津波の高い場所があることが分かります。例えば那覇の国場側河口や豊見城付近です。

 今回の津波では、験潮所の記録によると最大波高が0.3mでした。しかし、実際には他の場所でそれを上回る大きさの津波が到達していた可能性があります。験潮所の記録は津波の規模を把握する上で重要ですが、験潮所で観測された津波が比較的小さかったとしても、津波警報が過剰だったとは言えません。大きな地震が発生した場合や、津波警報が発表された場合は、直ちに避難するようにしましょう。

 

もし地震の深さが浅かったらどうなるか

 この計算では断層上端の深さを23 kmとして計算しています。もし断層上端の深さが5 kmであった場合、津波波高はどのくらい大きくなるでしょうか。

図4:断層の上端を5 kmの深さに設定した場合の、先島諸島での津波波高分布。

 図2と色の具合は似ていますが、カラースケールが異なります。特に西表島周辺では、場所によっては沿岸での波高が2 mを超えています。

 

図5:断層の上端を5 kmの深さに設定した場合の、沖縄本島周辺での津波波高分布。

 図3と比べて沿岸での波高が高くなっています。場所によっては約1 mの津波高さになります。

 

今回の地震は震源がやや深かったため、大きな津波にはなりませんでした。しかし、もし断層の深さがもう少し浅かった場合、より大きな津波が発生する可能性がありました。この次地震が起こった時、「この間の津波は大したことがなかったから、今度も大丈夫だろう」と考えないで避難行動をとるようにしてください。

 

(おまけ)

OTVのニュースで電話取材受けました。

OTVニュース