沖縄トラフの地震活動の論文

 沖縄トラフと琉球弧でのb値に関する論文がEarth, Planets and Space 誌に掲載されました。沖縄トラフ中軸のb値は低くなく、琉球弧と同じ程度、という内容です。見かけ上b値が低く見えるのは、以下の2つが原因です。

①気象庁マグニチュードの問題

 気象庁の地震カタログでは、沖縄トラフで起こる地震はM4付近の地震が少ない特徴があります。これは気象庁でマグニチュードを決定するときに用いる式が、沖縄トラフ付近では適切ではないことに起因しています。誰か詳しい方に沖縄トラフで起こる地震に関してマグニチュードの式を修正していただきたいです。

②群発地震時に地震検知能力が一時的に悪化する

 多数の地震が短時間に発生すると、重なって記録された複数の地震を分離できず、その結果小さな地震を見落としてしまいます。この要因により地震検知能力が低下します。長期的には地震検知能力が高い地域であっても、群発地震によって短期間だけ検知能力が低下します。その影響を補正しておかないと、群発地震領域でのb値を小さく推定してしまいます。

 

Nakamura, M. Distribution of b-value in the central and southern Ryukyu: is the low b-value in the rift-axis of the Okinawa Trough accurate?. Earth Planets Space 74, 178 (2022). https://doi.org/10.1186/s40623-022-01739-7