南西沖縄トラフ与那国海底地溝における海底地震観測

○はじめに
 沖縄トラフは南西諸島の北西側に位置する舟状の海盆である。 沖縄トラフは現在拡張している背弧海盆である。拡張は沖縄トラフの南西部 (南西沖縄トラフ)で最も大きい(1年あたり5〜7cm)。 また、南西沖縄トラフ は、沖縄トラフの中で最も地震活動の高い場所でもある。
 南西沖縄トラフにおける微小地震活動を詳しく調べるため、京都大学防災研究所と共同で南西 沖縄トラフに海底地震計を4台設置し、自然地震観測をおこなった。設置および回収 は1998年11月の長崎大学水産学部の練習船長崎丸RN-98航海において行なった。観測 期間は11月19日から23日までの4日間だけであったにもかかわらず、400個以上の地震 を記録することができた。
 今回の観測によって、南西沖縄トラフの中軸で地震がほとんど起こっていないのに 対し、中軸より南側で地震活動が活発であることが明らかになった。

観測点配置

○観測点配置
 与那国島から北に50km離れた海域に海底地震計を4台投入し、 自然地震観測をおこなった。地震計(OBS)は、沖縄トラフ中軸を 中心とする、ひし形状に設置した。
上の図中、白三角がOBSの位置を、赤丸が気象庁で観測された地震の 分布(1997-1998年、M3以上、深さ30km以浅)をそれぞれ示す。

○海底地震計で観測された地震波形
地震波形
OBS3で観測された地震の3成分波形を示す。P、Sはそれぞれ P波、S波を示す。PSは、震源から出たP波が観測点近傍の堆積層と基盤の間で S波に変換した波を示す。


地震分布

○地震の分布
観測点周辺の海底地形とOBSで観測された地震の分布。トラフ中軸は25.0°N付近に位置し、東西走向の正断層で形作られている。  赤丸は、今回の観測で決まった地震の震源を示している。また、 白三角は海底地震計の位置を示している。  マグニチュード1〜2の大きさの地震が多い。  地震はトラフ中軸より南側に集中して起こっている。


○海底地震計の投入・回収作業風景
投入作業投入作業

投入中投入中

回収中 海底地震計が海底から浮上

海底地震計が浮上 海底地震計を回収中。



参考文献:M.Nakamuara and H. Katao, Microearthquakes and faulting in the southern Okinawa Trough, Tectonophysics, 372, 167-177, 2003.


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