台湾東部の地震(2005年3月6日、M6.2 (Mw5.7))

 2005年3月6日、台湾東部でMw5.7の地震が起こりました(図1)。深さは4.7km(USGS)です。気象庁によるマグニチュードは6.2、深さは40kmです(表)。

 台湾で最大震度5が観測されました(図2)。与那国島で震度2、八重山諸島でも震度1が観測されました。

 地震の深さは、気象庁によれば深さ40kmと深いのですが、台湾中央気象局とUSGSの震源決定では深さが4.7〜7kmと浅いところに決まっています。台湾の地震観測網の中で発生しているため、台湾側の震源決定精度のほうが良いと考えられます。このことから、深さ10kmより浅いところで発生した地震であると見られます。

 台湾東部では沖縄トラフの西側延長が上陸しており、南北方向に拡張しています。この地震のメカニズム解は北西−南東拡張の正断層型を示しています。沖縄トラフ内の応力場と調和的なことから、沖縄トラフの拡張に関係した地震と考えられます。しかし震源は沖縄トラフの中軸(24.9°N付近)よりも南側です(図4)。沖縄トラフの中軸の断層が動いたわけではなさそうです。

 

表:各機関による深さとマグニチュード

深さ(km) マグニチュード
気象庁 40 6.2 (気象庁マグニチュード)
台湾中央気象局 7 5.9 (台湾中央気象局)
USGS 4.7 5.7 (Mw), 5.6(Ms)



(図1)  震源付近の地震分布。2002年から2004年まで、M3.0以上(気象庁による)。丸印は震源を表す。丸の色は震源の深さを示している。 ☆は本震の震央を示す。等深線は沈み込んだフィリピ海プレートの深さを示している。黄色い線は琉球海溝を示す。



(図2) 震度分布。台湾中央気象局と気象庁のデータを使用。


(図3)地震のメカニズム解、防災科学技術研究所による(2000年以降、M4以上)。本震のメカニズム解はUSGS NEICによるものを使用。メカニズム解は深さ毎に色分けしている。


(図4) 震源付近の地震分布。深さ40kmより浅い地震をプロットしている。東経123度より西側の地震は気象庁と台湾中央気象局の両方のデータ(2000年〜2002年)を用いて震源再決定している。東経123度より東は気象庁による震源(2001年〜2003年)を使用している。


[戻る]